教えてドクター

敏感肌ってなに?どうしてなるの?
肌トラブルのギモンを皮膚科専門医に聞きました。

Vol.02

敏感肌の内部では、
何が起こっているの?

バリア機能の仕組みとは

肌に本来備わっている、「バリア機能」の仕組みを説明しましょう。
肌は表面から「表皮」「真皮」「皮下組織」の3層で構成されています。
表皮の一番外側に位置する「角層」は、0.02mmという薄さです。
肌の水分は、この角層の構成成分により保たれています。
まずは「皮脂膜」。
肌の水が外に蒸散しないように覆っている脂の膜です。
次に「NMF(天然保湿因子)」。
水と結合する作用を持ち、うるおいを保ちます。
そして、重要な役割を果たす「細胞間脂質」があります。
角層細胞の間で、NMFが抱え込んでいる水分をサンドイッチのように挟み込んで「ラメラ構造」を作り、
水分を保持しています。

バリア機能と肌コレステロールの関係
健常な角層では、細胞間脂質が理想的なバランスで層状に整列し、隙間がない状態でバリアを形成しています。
肌コレステロールは、バリア形成に欠かせない成分です。

バリア機能と密接に関わっている
「細胞間脂質」

健常な角層では、細胞間脂質が「セラミド」が50%、「コレステロール」が25%、
「脂肪酸」が13%という比率で構成されています。
この理想的なバランスで存在することで、バリア機能が正常に働きます。
実際、アトピー性皮膚炎の人は、細胞間脂質が減少し、
バリア機能が低下しているというデータもあります。
つまり、角層内のバリア機能は、細胞間脂質の状態で決まると言えるでしょう。

バリア機能が低下すると「ピリピリ」に?!

敏感肌の特徴的な症状のひとつに、「化粧品をつけるとピリピリする」というものがあり、
この状態を「感覚刺激」と呼びます。
これは、外部刺激を受けた肌の細胞から「かゆみ神経を伸ばす物質」が分泌されることに起因します。
この物質が分泌され続けると、本来、肌の真皮層で留まっている
「知覚神経線維(かゆみを感じる神経)」が肌表面に近いところまで伸びるため、
ピリピリとした感覚刺激を受けてしまうのです。
他にも、バリア機能が低下している肌には、
かゆみや、温度差に対してうまく順応できないための肌のほてりなどの症状がみられます。

海老原 全 Tamotsu Ebihara

慶應義塾大学医学部准教授
医学博士