秋冬などの寒い季節だけでなく、通年悩まされている方も多い乾燥による手あれ(進行性指掌角皮症)。なめらかな手肌を目指すためには、乾燥が起きる要因をあらためて理解することが大切です。対策のカギを握る、ハンドクリームの選び方や使い方と合わせて解説します。
乾燥による手あれの原因
「乾燥による手あれ」の原因は、読んで字のごとく「乾燥」に他なりません。しかし、その「乾燥」が何によって生じるのかおさらいしておきましょう。
そもそも手のひらには皮脂腺がなく、手の甲も顔に比べると少なめ。乾燥するとひび割れが起きやすいのは、手のひらや指先の角層が厚いためです。
さらに手は、メイクや衣類などに覆われない状態で外気に直接さらされ、さまざまなものに触れるパーツ。湿度や気温の低下、手洗いや水仕事、アルコール消毒など、身近な環境・行動によって刺激を受けやすく、ダメージが進行しやすいデリケートな部位といえます。
外的刺激が加われば誰にでも起こり得ますが、水や洗剤などに触れる機会が多い主婦・主夫の方、美・理容師の方、飲食店の方のほか、日々多くの書類を扱う職種の方、紙幣に触れる銀行員の方などに多く見られる傾向が。また、アトピー性皮ふ炎を患っている(いた)方はもともと皮ふが刺激に弱いため、手あれのリスクも高まるとされています。一年中起こりますが、春夏よりは秋冬のほうがひどくなりやすいのも特徴です。
乾燥による手あれの特徴
乾燥の初期段階では、利き手の親指や人差し指の先端を中心に乾燥が見られます。うるおいが失われることで皮ふが厚く硬くなったり(角化)、指紋が薄れたりすることも。その状態が続くと乾燥・角化がその他の指や手のひらにまで広がり、皮ふ表面がはがれ落ちてしまうことも珍しくありません。
さらに悪化すると、ひびやあかぎれ、赤みやかゆみ、小さな水ぶくれといった状態にまで進行してしまいます。痛みが出たり違和感が続いたりしたら、早めに皮ふ科を受診しましょう。
ハンドクリームの選び方と使い方
皮脂腺がない手のひらは、自らうるおいを保つことができません。手あれ予防の最たる策ともいえる、ハンドクリームの選び方や使い方を見直しましょう。
ハンドクリームの選び方
ハンドクリームにもさまざまな種類がありますが、成分をチェックすると効率よくケアすることができます。下記を参考にしたうえで、香りや使用感が気に入るものを探してみてください。
乾燥がひどい場合
ヒアルロン酸やグリセリン、セラミドなどの保湿成分
軽度の手あれ、ひびやあかぎれがある場合
保湿成分に加え、ビタミンEやヘパリン類似物質などの血行をサポートする成分 グリチルリチン酸ジカリウム、dl-カンフル、グリチルレチン酸などの有効成分 (上記が入った医薬部外品・指定医薬部外品・医薬品(医師や登録販売者に要相談))
ガサガサ感、ごわつきがある場合
角質をやわらげる尿素
ハンドクリームの使い方
せっかく購入したのに、適当に塗って満足していませんか?効果的な使い方を見ていきましょう。
こまめに塗る
手洗い後には必ず塗るのが基本。その他のタイミングでも、乾燥が気になったらすぐに使うクセをつけましょう。こまめに塗るクセをつけるためには、家の何ヵ所かにハンドクリームを常備しておくのも手。就寝前にもしっかり塗る習慣をつけましょう。
また、今手あれをしていないからといって、ハンドクリームでのケアを怠らないことも大切。常に手肌を保湿しておくことで、トラブルの連鎖を断ち切りましょう。
適量をきちんと使う
塗る量が少ないと、ハンドクリームの効果を体感することが難しくなります。1回あたりのハンドクリームの量は、人差し指の指先から第1関節までが目安。手あれがひどい場合は、第2関節くらいまで出しましょう。
マッサージしながら塗る
マッサージをしながら塗ることで手肌の血行が促され、ハンドクリームのなじみもよくなります。手の甲にハンドクリームをたっぷりと出したら、手全体に少しずつ広げましょう。爪の周りや指の股などの細かい部分まで、指1本1本にすりこむようになじませてください。
毎回マッサージするのは大変なので、就寝前の習慣にするのがおすすめ。1日頑張った手をいたわるような気持ちで、リラックスしながらマッサージしてみてください。綿100%の手袋などをはめて寝ると、うるおいをよりキープしやすくなります。
乾燥手あれ対策として、手の洗い方も見直そう
手あれを対策するためには、ハンドクリームだけでなく手の洗い方も大切。雑菌やよごれをきちんと落とすためには欠かせないとはいえ、手を洗うとうるおいが一気に奪われてしまいます。少しでも手あれが起きにくいよう、洗い方を見直してみましょう。
洗うときの水温は、33~35℃のぬるま湯がおすすめ
冷たすぎるとよごれを落とすのに時間がかかり、熱すぎるとうるおいが奪われてしまいます。温度を設定できる場合は、ぜひ調整してみてください。
擦りすぎないようにする
よごれや菌を落とそうとするあまり、手肌を強い力でゴシゴシと擦るのはご法度。摩擦で角層がダメージを受け、手あれを助長させてしまいます。ハンドソープの泡をクッションにして、擦りすぎないようにしましょう。
低刺激タイプのハンドソープを使う
手あれを防ぐためには、アミノ酸系の洗浄剤などを使用した肌にやさしいハンドソープを選びましょう。
まとめ
手あれを防ぐためには、普段から手肌を乾燥させないケアを心がけることが大切です。ハンドクリームの選び方や使い方、手の洗い方などを見直し、思わず触れたくなるうるすべの手肌を目指しましょう。