「以前に比べて、肌のハリが失われている気がする」「目じりやおでこのシワが気になってきた」そんなお悩みを抱えている方がいるのではないでしょうか。そこで今回は、シワ改善とハリ向上のためのエイジングケアの方法をご紹介。若々しい肌を取り戻したい方はぜひ参考にしてください。
加齢によるシワ、ハリ低下の原因とは
具体的なエイジングケアの方法を確認する前に、なぜ加齢によるシワやハリ低下がおこるのか、考えられる原因を整理していきましょう。
肌の構造と機能、加齢による変化
肌は以下の3つの層から成り立っています。
● 表皮:肌の一番外側で視覚的に確認できる。3層のうちもっとも薄い
● 真皮:表皮の下にあり、見た目の老化にもっとも影響をあたえる
● 皮下組織:皮ふのなかで1番下にあり、筋肉や骨を守るクッション機能や保湿作用がある
表皮の下にある真皮には、コラーゲンやエラスチンなどの美肌成分が多く存在します。真皮内にある線維芽細胞という細胞から生み出されるコラーゲンとエラスチンは、肌のハリや弾力を維持するために欠かせません。
しかし、コラーゲンやエラスチンが生み出される量は、加齢により減少していく傾向があります。生成量のピークは20代で、30代以降は徐々に少なくなってしまいます。コラーゲンやエラスチンが減少すると、肌は弾力やハリを保てなくなり、シワが増える原因に。
さらにコラーゲンやエラスチンは、加齢によって減少するだけでなく硬くなり、日々の生活の中で切れたり折れたりすることもあります。その結果、真皮内のコラーゲンやエラスチンは表皮を支えきれなくなり、ハリが失われる原因となるのです。
皮ふの乾燥
皮ふの乾燥も、ハリを失いシワを作る原因の1つ。皮ふの乾燥によって、表皮の保湿機能と外部刺激やアレルギー物質を防ぐバリア機能の2つが低下します。肌表面の水分が失われることで摩擦や紫外線といった外部刺激を受けやすくなり、結果的にハリが喪失し、シワが増えやすくなるのです。
紫外線ダメージ
紫外線にも注意が必要です。紫外線は、以下の3種類に分類されます。
● UV-A:紫外線の9割を占め、肌への蓄積的なダメージをあたえる
● UV-B:地表に到達するのは一部であり紫外線の1割程度だが、肌への影響が強い
● UV-C:大気層で吸収され地表には届かない
地表に届くのはUV-AとUV-Bの2種類です。UV-Aは肌への影響は弱いものの、ジワジワとダメージを与えます。真皮内の線維芽細胞にダメージを与え、コラーゲンやエラスチンを硬く変性させ、肌からハリや弾力を失わせます。
UV-Bは、紫外線に占める量は1割程度と少量ながら、肌への影響が強いことが特徴です。UV-Bを浴びた肌は炎症を起こしメラニンが増加します。シミやソバカスの原因になるだけでなく、保湿力を奪われ乾燥にもつながります。
表情筋の影響
表情筋の衰えも、シワやハリ低下の原因です。顔の皮ふを支える表情筋が衰えてしまうと、皮ふ組織を支えられなくなり、ハリや弾力がなくなってしまいます。加齢だけではなく、あまり人と話さなかったり長期間マスクをつけていたりする生活も、表情筋の衰えを招きます。
ホルモン変化
年齢とともに減少する女性ホルモンによる影響も、肌のシワやハリ低下を引き起こす要素です。女性ホルモンのうち、卵巣から分泌されるエストロゲンは、肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンの生成に密接に関係します。そのためエストロゲンの減少により、ハリや弾力、みずみずしさが失われ、肌老化を引き起こします。
不適切なスキンケア
スキンケアの方法が適切でないと、肌の老化を招きやすくなるでしょう。たとえば、化粧水を顔の上から下に圧をかえるように塗ってしまうと、たるみの原因になりかねません。また化粧水や美容液の成分をなじませようと強くパッティングすると、肌に大きな負担をかけてしまいます。
基本的なエイジングケアのステップ
シワを改善し、ハリを向上させるためには、日頃から正しいエイジングケアを行う必要があります。基本的なエイジングケアのステップをおさらいしておきましょう。
クレンジングと洗顔
肌に負担をかけずにしっかりとメイクとよごれを落とすなら、W洗顔が基本です。一度で落とすのは肌を傷める原因になるため、まずはポイントメイクを落としてから、顔全体のメイク落としをしてください。
クレンジング剤は、メイクの濃さに応じて使い分けましょう。メイクが濃い部分から、オイル→ジェル・バーム→クリーム→ミルクの順番で選ぶのがおすすめです。クレンジング剤は、適量を使うことが大切。指定の量よりも少ないクレンジング剤でメイク落としをすると、肌をこすって傷めてしまう原因になります。また、必要以上に力を入れて洗うことも肌を傷め、たるみを引き起こすため避けましょう。
メイクを落としてからの洗顔は、手のひらで洗顔料をしっかりと泡立て、先に油分の多いTゾーンを念入りに、乾燥しやすいUゾーンはさらりと素早く洗うことがポイントです。
化粧水と美容液の使い方
化粧水は洗顔後5分以内を目安に、なるべく早くつけて乾燥を防ぎます。適量を手のひらのうえで軽くのばし、顔の内側から外側にむかってなじませてください。アイホールや小鼻・口まわりなどの細かい部分は、指になじませて優しくつけていきます。
顔全体につけたら、手のひらで顔を包み込むようにしてじっくりなじませます。肌が乾燥しているときは、コットンに化粧水を浸し、コットンパックをするのもよいでしょう。
次に美容液を重ね、顔全体になじませていきます。目もとのシワにアプローチする目もと美容液や美白スポット美容液なども、この段階で気になるところに重ねましょう。
保湿クリームの使い方
エイジングケア用の保湿クリームは、スキンケアの最後に使います。油性の化粧品を先に塗ってしまうと、水分の多い化粧水の浸透を妨げてしまうことから、化粧水→美容液→クリームの順番で使うのが効果的です。顔全体に保湿クリームを塗った後、アイクリームなどの部分用アイテムを重ねます。
日やけ止めの重要性
紫外線は季節や天候にかかわらず1年中降り注いでいるため、年間を通した紫外線対策が重要です。スキンケアで肌を整えてから、化粧下地を塗る前につけましょう。化粧下地の前に日やけ止めを塗ると、下地の効果が半減してファンデーションが密着しにくくなることがあります。時短を目指す場合は、化粧下地としても使える日やけ止めを選ぶとよいでしょう。
日やけ止めは「おでこ・鼻の頭・右ほほ・左ほほ・あご」の、顔のパーツごとに少量を分けてのせてから塗ることで、塗りムラを防げます。内側から外側にむかって、こすらないように意識しながら、まんべんなく塗っていきましょう。
なお、外出する直前ではなく、時間に余裕をもって塗っておくのがベスト。日やけ止めは、顔に塗った瞬間から効果を発揮するわけではなく、肌に浸透して効果が出るまでに30分程度かかるといわれています。
エイジングケアに効果的な成分の選び方
エイジングケアに効果的な成分を知っておくと、自分の悩みの解決につながる化粧品を選びやすくなるでしょう。「シワ改善に有効な成分」と「ハリ向上に有効な成分」についてご紹介します。
シワ改善に有効な成分
シワ改善に有効とされる主な成分は、以下のとおりです。
● レチノール
● ナイアシンアミド
● ニールワン
レチノールは、肌のターンオーバーやヒアルロン酸の生成を促進し、真皮のコラーゲン密度を高めます。ナイアシンアミドはコラーゲンの生成を促し、メラニンの生成を抑えます。
また、ニールワンは、真皮内のコラーゲンやエラスチンを分解し、シワを生み出す「好中球エラスターゼ」のはたらきをブロックする成分です。
ハリ向上に有効な成分
ハリ向上に有効な成分としては、主に以下の3つが挙げられます。
● ビタミンC誘導体
● レチノール
● セラミド
ビタミンCには肌をひきしめる効果があり、たるみによって目立つ毛穴などに即効性があるとされています。スキンケアに含まれる「ビタミンC誘導体」とは、皮ふに浸透してからビタミンCに変化する成分のことです。
レチノールはビタミンAの一種で、肌の生まれ変わりをサポートしたり、真皮に含まれるコラーゲンやエラスチンの生成を促したりするはたらきがあり、肌のハリや弾力を高めます。
さらに、皮ふの角層に存在する保湿成分であるセラミドは、外部の刺激から肌を守り、体内の水分が逃げないようにするバリア機能を担う成分です。乾燥などによってセラミドが失われると、肌内部のうるおいが奪われてハリの低下を招きます。
日常でできるシワ改善とハリ向上のヒント
ここからは、日常でできるシワ改善とハリ向上のヒントをご紹介します。生活習慣の見直しや正しいスキンケアによって、肌の老化を防ぎましょう。
バランスのとれた食事
体は、食べたものから作られています。美しい肌を保つには、バランスのとれた食事を心がけることが大切。暴飲暴食やジャンクフード中心の食事は、たとえスキンケアに力を入れてもその効果を半減させます。
ビタミンやミネラルを多く含んだ野菜・きのこ・海藻類、動物性タンパク質が豊富な肉・魚・卵などを積極的に摂取しましょう。野菜のなかでもとくに意識して摂りたいのが、強力な抗酸化作用をもつ、βカロテンを含む緑黄色野菜です。また、アンチエイジングに役立つ栄養素が豊富な大豆や大豆食品もおすすめです。
適度な運動
適度な運動で筋肉量を維持することも、シワ改善やハリ向上につながります。腹筋やスクワット、つま先立ちなどのメニューを無理なく続けていくとよいでしょう。適度な運動は、肌の老化の原因となる活性酸素の除去にも効果が見込めます。
十分な睡眠
細胞は寝ている間に修復されます。そのため、美肌づくりにおいて質のよい十分な睡眠は欠かせません。ゆっくりとお風呂に浸かったり、自分に合った寝具を選んだり、夜に摂取する糖質の量を控えたりすると、質のよい睡眠が得られます。また、体内時計の乱れも老化を促進するといわれていることから、できるだけ毎日同じ時間に就寝・起床するように意識しましょう。
ストレス管理
シワを改善させハリを向上させるためには、ストレス管理は欠かせません。ストレスを受けると活性酸素が発生し、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンにダメージを与えてしまいます。
リラックス効果のあるアロマをたく、ヨガやストレッチを行う、好きな音楽を聴くなど、自分に合った方法でストレスを解消させましょう。
保湿
シワやハリの低下、くすみなどの老化のサインに共通する原因は、肌の乾燥です。乾燥はダイレクトにシワを生み出すほか、乾燥によるバリア機能の喪失が紫外線による影響を高め、シミやくすみを作り、たるみの原因にもなり得ます。エイジングケアを効果的に行うためには、保湿ケアを重視することが重要です。
フェイシャルエクササイズ
表情筋が衰えると、そのうえにある脂肪と皮ふが支えられずに垂れ下がってきます。シワやハリ低下の原因にもなるため、フェイシャルエクササイズで表情筋を積極的に動かすことが効果的です。
顔のリフトアップにおすすめのエクササイズとしては、唇をすぼめて前方へ突き出したり、口角を横に引いたりする「口輪筋トレーニング」などが挙げられます。
マッサージ
眉間にシワを寄せたり、肌の弾力が失われた状態で笑ったりすることで作られた表情のシワは、マッサージでほぐすことで改善されます。
たとえば、おでこのシワ改善には眉上から額全体にかけて縦にのびている前頭筋をほぐすマッサージを、目もとのシワをのばすには、目のまわりを囲んでいる眼輪筋をほぐすマッサージを行いましょう。
定期的なスキンケアの見直し
定期的なスキンケアの見直しも必要です。若い頃は、ゴシゴシ顔をこすってメイク落としをしても問題なかったかもしれません。しかし、その方法を続けていると、くすみや肌あれの原因となります。
また、加齢によって肌の保湿力が弱まるため、保湿力の高いスキンケアアイテムに変更することも大切。特定のエイジングサインが気になる場合は、悩みに特化した美容液やクリームを使うと効果を実感できます。
まとめ
肌のハリの低下やシワが気になってきたら、早めにエイジングケアを始めましょう。自己流のスキンケアが、シワやたるみの原因となっていることも少なくありません。ぜひ、今回お伝えした、基本的なエイジングケアの方法を参考にしてください。生活習慣の改善もあわせて行うことで、さらに効果が期待できるでしょう。