当たり前に耳にする「敏感肌」というワードですが、その特徴や原因などを説明するのは意外と難しいもの。正しい知識を身に付けておけば、効率よく対策することができます。敏感肌についての基礎知識やスキンケアのポイント、普段の生活で気を付けたいことなどを詳しく解説していきます。
敏感肌の特徴
「敏感肌」とは、肌表面(角層)のバリア機能が低下し、さまざまな肌トラブルが起きやすい状態になっている肌のこと。
バリア機能とは、肌のもっとも外側にある角層が、外部からの刺激や異物の侵入から肌を守ると同時に、内部の水分が蒸発しないようにする機能のことを指します。何かしらの原因でバリア機能が低下すると、肌内部でうるおいがつくられにくくなり、必要な部分にうるおいを行き渡らせることもできない状態に。
さらにバリア機能の低下により、ニキビ(吹き出物)などの肌あれ・カサつき・ひりつき・赤みなどの症状が生じやすくなります。「症状」といっても病気ではなく、起こりうるトラブルは人によってさまざま。さまざまな成分が肌を透過しやすい状態に。肌の調子が安定しなかったり、肌に合う化粧品が極度に限られたりする場合も、敏感肌の可能性があるといえるでしょう。
敏感肌の原因
前述の通り敏感肌の症状は「バリア機能の低下」によって生じますが、それを引き起こす原因は多岐にわたります。代表的なものを挙げていきますので、心当たりがないか振り返ってみましょう。
外気の乾燥
空気が乾くと肌のうるおいが蒸発しやすくなり、バリア機能の低下につながります。秋冬の乾燥した空気はもちろん、冷暖房による乾燥にも注意が必要です。
紫外線によるダメージ
紫外線は肌のうるおいや弾力をつかさどるエラスチンやコラーゲンにダメージを与え、バリア機能の低下を招きます。皮脂が酸化することでニキビが悪化したり、シワやたるみを助長させたりするなど、さまざまなトラブルが起きやすくなります。
不適切なスキンケア
不足したうるおいを十分に補えていないと、バリア機能が正常に保ちにくくなります。肌の状態に合わない基礎化粧品を使っていたり、必要な量を使用できていなかったりすると、バリア機能がさらに低下する可能性も。
そして角層は非常にもろく、少しの摩擦や刺激ですぐにはがれてしまいます。クレンジングや洗顔の際には摩擦が起きやすいので、特に注意が必要です。
ゴシゴシと擦るのはもちろん、量を十分に使わなかったり、洗顔フォームの場合は泡立てが不十分だったり、皮脂が気になるからといって1日に何度も洗顔したり、熱湯ですすいだりするのもNG。また、化粧水を強くパッティングするようにつけたり、美容液や乳液、クリームを強くこするようになじませたりするのも控えるべき行為です。
ターンオーバーの乱れ
ストレスや加齢、睡眠不足や偏った食事などによってターンオーバーのサイクルが乱れると、角層内でうるおいを保つ天然保湿因子(NMF)や細胞間脂質が生成されにくくなり、水分蒸散を招きます。角層内のうるおいバランスがくずれ、バリア機能の低下につながっていくという仕組みです。
敏感肌のスキンケアポイント
肌を敏感にしないためには、バリア機能を低下させないお手入れを行う必要があります。スキンケアの具体的なポイントを見ていきましょう。
落とすケア
クレンジングでは油性の汚れを、洗顔料では水性の汚れを落として肌を清潔に整えましょう。クレンジングはさくらんぼ粒大、洗顔は1.5~2cmほどの十分な量を使い、不要な汚れだけを落としてうるおいをきちんと残すことが大切です。
クレンジングの種類はメイクの濃さにもよりますが、乾燥しやすいならクリームタイプ、ライトメイクの日にはミルクタイプなどを選んでみてください。
洗顔料は、おだやかに洗い上げるアミノ酸系の洗浄成分を配合しているものがおすすめ。レモン大ほどになるまで泡を立て、手と肌の間にクッションを作って洗いましょう。
すすぐときの水の温度もポイント。熱湯で洗うと必要なうるおいが流れやすくなる一方、冷水では汚れが落ちにくいため、ぬるま湯がベストです。
与えるケア
洗顔後の肌からはうるおいがどんどん蒸発してしまうので、一刻も早く保湿しましょう。化粧水で水分をたっぷり補ったら、油分が入った乳液やクリームでフタをするのも忘れずに。基本のステップだけでは物足りないと感じたら、美容液なども投入してみてください。
アイテムは肌に合っているものであれば問題ありませんが、セラミドやアミノ酸、ヒアルロン酸、ライスパワー®No.11(米エキスNo.11)などの高保湿成分が含まれているとベター。肌が特に敏感になりやすい方は、アルコールフリータイプを選ぶのも一手です。
肌には常にやさしく触れ、強くパッティングしたりこすったりせず丁寧になじませましょう。化粧水は500円玉大・乳液は10円玉大・クリームはパール粒ほどが使用量の目安です。多いと感じる場合は一度につけず、数回に分けてなじませてみてください。
守るケア
紫外線から肌を守るために、日中は季節や天気に関係なく日やけ止めを使いましょう。
せっかく塗っても量が少ないとムラになってしまうので、1円玉大ほどの量を一度手に出し、おでこ・両ほほ・鼻・あごの5点に置いてから内から外に向かって広げるのがおすすめです。
敏感肌対策には、生活習慣の見直しも大切
ゆらぎにくく健やかな肌は、健康なからだが資本です。肌を含む全身を整えるためには、規則正しい生活を心がけましょう。
適度な運動は血行を促し、肌のターンオーバーを整える効果が期待できます。食事では栄養バランスを意識したうえで、ビタミン・ミネラル、アスタキサンチンなどの抗酸化成分を積極的に摂取してみてください。
また、睡眠中には全身の回復を促す成長ホルモンが分泌されます。質のよい睡眠をとれるよう、寝る前の過ごし方や睡眠環境を見直してみましょう。
まとめ
バリア機能の低下で起こる敏感肌の症状を対策するためには、角層をうるおいで満たすことが大切です。スキンケアアイテムの選び方や使い方を工夫しつつ、生活習慣にも気を配ってみてください。